塾経営で使える助成金・補助金ガイド

塾経営には様々な費用がかかりますが、国や自治体の助成金・補助金を活用することで、負担を軽減できます。しかし、制度が複雑で活用できていない塾も多いのが現状です。

本記事では、学習塾経営で活用できる助成金・補助金を、申請方法から活用戦略まで詳しく解説します。

目次

• 助成金・補助金の基本
• 主な助成金・補助金
• IT導入補助金
• 小規模事業者持続化補助金
• その他の支援制度
• 申請の流れとポイント
• 活用事例
• 注意点とQ&A

助成金・補助金の基本

1. 助成金と補助金の違い

助成金

特徴

• 要件を満たせばほぼ受給可能
• 主に厚生労働省管轄
• 雇用関係が中心
• 通年募集が多い

代表例

• キャリアアップ助成金
• 人材開発支援助成金
• 雇用調整助成金
• 両立支援等助成金

補助金

特徴

• 予算に限りあり
• 審査あり（採択率による）
• 主に経済産業省管轄
• 募集期間が限定的

代表例

• IT導入補助金
• 小規模事業者持続化補助金
• 事業再構築補助金
• ものづくり補助金

2. 活用のメリット

資金面

• 初期投資の軽減
• 設備投資の促進
• 新サービス導入
• 経営改善

経営面

• 計画的な投資
• 事業の見直し
• 専門家の助言
• 信用力向上

3. 注意点

基本的なルール

• 後払いが原則
• 実績報告必須
• 目的外使用禁止
• 期限厳守

リスク

• 採択されない可能性
• 手続きの負担
• 先行投資の必要性
• 返還リスク（不正時）

require な助成金・補助金

1. IT導入補助金

概要

• ITツール導入支援
• 中小企業・小規模事業者対象
• 補助率：1/2〜3/4
• 上限額：最大450万円

対象経費

• ソフトウェア購入費
• クラウド利用料（最大2年分）
• 導入関連費
• ハードウェア購入費（一部）

塾での活用例

• 塾管理システム導入
• オンライン授業システム
• 会計ソフト
• セキュリティ対策

2. 小規模事業者持続化補助金

概要

• 販路開拓等の支援
• 小規模事業者対象
• 補助率：2/3
• 上限額：50万円〜200万円

対象経費

• 広告宣伝費
• ホームページ制作
• 店舗改装
• 設備投資

塾での活用例

• ホームページリニューアル
• チラシ・パンフレット作成
• 看板設置
• 教室の改装

3. 事業再構築補助金

概要

• 新分野展開等の支援
• 中小企業対象
• 補助率：1/2〜2/3
• 上限額：最大1億円

対象経費

• 建物費
• 機械装置費
• システム構築費
• 広告宣伝費

塾での活用例

• 新業態への転換
• オンライン塾の開始
• プログラミング教室開設
• 新教室の開設

4. キャリアアップ助成金

概要

• 非正規雇用者の処遇改善
• 中小企業対象
• 1人あたり数十万円
• 要件を満たせば受給可能

対象

• 正社員化
• 賃金規定等改定
• 健康診断制度
• 諸手当制度

塾での活用例

• アルバイト講師の正社員化
• 講師の賃金改善
• 福利厚生の充実
• 処遇改善

IT導入補助金

1. 対象となるITツール

塾管理システム

• 生徒管理
• スケジュール管理
• 成績管理
• 請求管理

じゅくのすけの導入

• シフト管理システム
• 効率化ツール
• 補助金活用可能
• 投資負担の軽減

その他のツール

• オンライン授業システム
• 会計ソフト
• 顧客管理システム
• セキュリティソフト

2. 申請要件

事業者の要件

• 中小企業・小規模事業者
• 日本国内で事業を行う
• 生産性向上に取り組む
• gBizIDの取得

ITツールの要件

• 事務局の登録ツール
• 労働生産性向上
• 導入効果の測定
• セキュリティ要件

3. 申請の流れ

ステップ1：準備（1-2ヶ月前）

• gBizID取得
• ITツール選定
• IT導入支援事業者選定
• 見積取得

ステップ2：申請（公募期間内）

• 交付申請
• 事業計画書作成
• 必要書類の準備
• オンライン申請

ステップ3：採択後

• 交付決定通知
• 契約・発注
• 導入・支払い
• 事業実績報告

ステップ4：補助金受領

• 報告書審査
• 確定通知
• 補助金振込
• 事後報告（3年間）

4. 補助額の例

例1：塾管理システム導入

• 導入費用：100万円
• 補助率：1/2
• 補助額：50万円
• 実質負担：50万円

例2：総合的なIT化

• 導入費用：300万円
• 補助率：2/3
• 補助額：200万円
• 実質負担：100万円

小規模事業者持続化補助金

1. 対象事業者

要件

• 商業・サービス業：従業員5人以下
• 個人事業主も対象
• 会社及び個人事業主
• 特定の業種を除く

塾の場合

• ほとんどが対象
• 講師数で判断
• 常時雇用が基準
• アルバイトは除外

2. 活用できる経費

広報費

• ホームページ作成
• チラシ作成
• パンフレット
• 看板・のぼり

開発費

• 新サービス開発
• 教材開発
• システム開発
• 試作品

設備費

• 機械装置
• 工具・器具
• 備品購入
• ソフトウェア

その他

• 店舗改装
• 専門家謝金
• 旅費
• 資料購入費

3. 申請のポイント

経営計画書

• 現状分析
• 課題の明確化
• 解決策
• 実施スケジュール

補助事業計画書

• 事業の目的
• 具体的な取り組み
• 販路開拓の方法
• 期待される効果

加点項目

• 賃上げ計画
• 事業承継
• 創業
• インボイス登録

4. 活用例

ホームページリニューアル

• 費用：80万円
• 補助額：53万円（2/3）
• 実質負担：27万円
• SEO対策・予約機能

教室改装

• 費用：150万円
• 補助額：100万円（2/3）
• 実質負担：50万円
• 個別ブース増設

その他の支援制度

1. 雇用関係の助成金

人材開発支援助成金

• 講師の研修費用
• OFF-JT、OJT
• 賃金助成+経費助成
• 人材育成

両立支援等助成金

• 育児・介護との両立
• 柔軟な働き方
• 女性活躍推進
• 職場環境整備

2. 自治体独自の支援

創業支援

• 創業補助金
• 家賃補助
• 融資制度
• 専門家派遣

地域活性化

• 商店街活性化
• 空き店舗活用
• UIJターン支援
• 地域振興

3. 税制優遇

中小企業投資促進税制

• 設備投資の優遇
• 特別償却or税額控除
• 対象設備の取得
• 青色申告

所得拡大促進税制

• 賃上げの税額控除
• 給与等支給額の増加
• 従業員への還元
• 人材確保

申請の流れとポイント

1. 事前準備

情報収集

• 公募情報の確認
• 要件の理解
• スケジュール把握
• 過去の採択事例

書類準備

• 登記簿謄本
• 決算書
• 納税証明書
• gBizID

2. 申請書作成

ポイント

明確な目的

• 課題の具体化
• 解決策の妥当性
• 効果の数値化
• 実現可能性

説得力のある計画

• 論理的な構成
• 具体的な内容
• 実績データ
• 将来予測

加点項目の活用

• 賃上げ
• 地域貢献
• 革新性
• 政策への適合

3. 申請後

採択された場合

• 速やかな実施
• 計画通りの執行
• 証拠書類の保管
• 期限内の報告

不採択の場合

• 理由の分析
• 計画の見直し
• 再挑戦の検討
• 他の制度の検討

4. 専門家の活用

相談先

• 商工会議所
• 認定支援機関
• 中小企業診断士
• 税理士・会計士

メリット

• 専門的アドバイス
• 申請書のブラッシュアップ
• 手続きのサポート
• 加点の可能性

活用事例

事例1：IT導入補助金でシステム導入

背景

• 生徒50名の個別指導塾
• 手作業での管理に限界
• 講師のシフト調整が大変
• 業務効率化が課題

実施内容

• 塾管理システム導入
• 補助対象額：150万円
• 補助額：100万円（2/3）
• 実質負担：50万円

効果

• 事務作業時間50%削減
• シフト作成の効率化
• データの一元管理
• 講師の満足度向上

事例2：持続化補助金でWeb集客強化

課題

• 新規問い合わせの減少
• Webサイトが古い
• オンライン対応できず
• 集客に苦戦

取り組み

• ホームページリニューアル
• SEO対策
• オンライン予約機能
• 補助額：50万円

成果

• 問い合わせ2倍
• Web経由の入塾増加
• ブランドイメージ向上
• 集客コスト削減

事例3：キャリアアップ助成金で人材定着

状況

• 講師の離職率が高い
• 優秀な人材の確保が困難
• アルバイト中心
• 経営の不安定さ

対策

• 優秀な講師の正社員化
• 賃金規定の改定
• 福利厚生の充実
• 助成金：1人あたり57万円

結果

• 離職率の低下
• 指導の質向上
• 生徒満足度アップ
• 安定経営

注意点とQ&A

1. よくある注意点

期限厳守

• 申請期限
• 事業実施期限
• 報告期限
• 遅延は不可

証拠書類の保管

• 見積書・契約書
• 請求書・領収書
• 納品書
• 実施の証拠

目的外使用の禁止

• 計画通りの使用
• 変更は事前承認
• 転用は返還対象
• 厳格な管理

2. Q&A

Q: 個人事業主でも申請できますか? A: はい、多くの補助金・助成金は個人事業主も対象です。

Q: 開業前でも申請できますか? A: 補助金によります。創業支援系は可能ですが、多くは事業実施中が条件です。

Q: 採択率はどのくらいですか? A: 補助金により異なります。IT導入補助金は50-70%、持続化補助金は60-80%程度です。

Q: 申請は自分でできますか? A: 可能ですが、専門家のサポートを受けることで採択率が上がります。

Q: 複数の補助金を同時に申請できますか? A: 基本的に可能ですが、同一経費への重複受給は不可です。

Q: 不採択だった場合、再申請できますか? A: はい、計画を見直して再度申請可能です。

まとめ

助成金・補助金を効果的に活用することで、塾経営の負担を軽減できます。

活用のポイント

• 情報収集の継続
• 早めの準備
• 明確な計画
• 専門家の活用
• 証拠書類の保管

成功のカギ

• 事業計画の明確化
• 説得力のある申請書
• 期限の厳守
• 適切な実施・報告
• 継続的な改善

注意すべきこと

• 後払いが原則
• 手続きの負担
• 要件の確認
• 不正受給の禁止
• 長期的視点

助成金・補助金を賢く活用して、塾経営の発展を実現しましょう。

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