塾講師の採用と面接完全ガイド｜優秀な講師を見極める方法

講師の質は、塾の教育の質を決定づけます。優秀な講師を採用することは、塾経営において最も重要な課題の一つです。本記事では、個別指導塾における効果的な講師採用方法と面接テクニックを、実践的な視点から解説します。

1. 講師採用の重要性

1.1 講師の質が塾の質を決める

生徒の学力向上

• 指導力のある講師→成績アップ
• わかりやすい説明
• モチベーション管理
• 学習方法の指導

保護者の満足度

• 信頼できる講師→継続率向上
• コミュニケーション能力
• 丁寧な対応
• 定期的な報告

塾の評判

• 良い講師→口コミで広がる
• 地域での評価向上
• 新規生徒の獲得
• ブランド力の強化

他の講師への影響

• 優秀な講師→良い刺激
• チーム全体のレベルアップ
• 教え合い・学び合い
• 職場環境の向上

1.2 採用の難しさ

講師不足の現状

• 人材の取り合い
• 特に理系講師が不足
• 地方では特に深刻
• 時給競争の激化

ミスマッチのリスク

• 採用後に問題発覚
• 生徒・保護者からのクレーム
• 他の講師への悪影響
• 採用コストの無駄

継続の難しさ

• 大学生講師の卒業
• 社会人講師の転職
• 常に新規採用が必要
• 育成コストの回収前に退職

2. 求人募集の方法

2.1 募集媒体

求人サイト

• タウンワーク
• バイトル
• Indeed
• 塾講師専門サイト（塾講師ナビなど）
• 広範囲にリーチ可能
• 費用：数万円〜

大学の求人掲示板

• 学内の掲示板
• 大学生協
• キャリアセンター
• ターゲットを絞れる
• 費用：無料〜数千円

自塾のホームページ

• 求人ページの設置
• 応募フォームの設置
• SEO対策
• 費用：無料（制作費除く）

SNS

• Twitter、Facebook、Instagram
• 教室アカウントでの発信
• 拡散による認知拡大
• 費用：無料

紹介制度

• 既存講師からの紹介
• 紹介した講師に謝礼
• 信頼性が高い
• 費用：紹介料のみ

チラシ・ポスター

• 大学周辺での配布・掲示
• 地域密着
• 費用：印刷費のみ

2.2 求人原稿の書き方

魅力的なタイトル

• 「週1日〜OK」「シフト自由」
• 「未経験歓迎」「研修充実」
• 「高時給」「昇給あり」
• 応募者の関心を引く

仕事内容の明確化

• 個別指導（1対1、1対2など）
• 対象学年
• 指導科目
• 授業準備の有無
• その他業務（面談、事務作業など）

勤務条件

• 勤務時間・曜日
• シフトの柔軟性
• 週の最低勤務日数
• 長期休暇の勤務（夏期講習など）

給与・待遇

• 時給（明記する）
• 昇給制度
• 交通費支給
• 研修期間の待遇

応募資格

• 学歴（大学生以上、など）
• 学部・学科の指定（理系優遇など）
• 経験の有無
• 指導可能科目

アピールポイント

• 働きやすさ（シフト自由、少人数指導など）
• 成長機会（研修制度、キャリアアップ）
• 職場の雰囲気（アットホーム、若手活躍など）
• 実績（合格実績、生徒満足度など）

応募方法

• 電話、メール、Web応募フォーム
• 必要書類（履歴書、成績証明書など）
• 応募締切

2.3 求人原稿の例

【未経験OK・週1日〜】個別指導塾の講師募集！シフト自由で学業と両立◎

■仕事内容
小中高生への個別指導（1対2まで）
得意科目のみでOK！

■勤務時間
月〜土 16:00〜22:00の間で週1日、1コマ(90分)〜
※シフトは1週間ごとに提出、テスト期間などの調整可能

■給与
時給1,500円〜2,500円（経験・能力による）
※研修期間(1ヶ月)は時給1,300円
※昇給制度あり

■待遇
・交通費支給（上限1万円/月）
・研修制度充実
・授業前後の準備時間も給与支給
・私服OK

■応募資格
大学生・大学院生・社会人
※未経験者歓迎！丁寧に研修します

■応募方法
お電話またはWebフォームよりご応募ください
TEL: 03-XXXX-XXXX（担当：山田）

2.4 募集のタイミング

通年募集が基本

• いつでも応募を受け付ける
• 退職・卒業に備える

特に積極的に募集すべき時期

2-3月

• 新年度に向けた増員
• 大学生の春休み期間
• 新大学1年生の獲得（4月入社）

9-10月

• 秋の増員
• 夏休み明けの新規採用

季節講習前

• 夏期講習（5-6月募集）
• 冬期講習（10-11月募集）
• 短期的な増員

3. 応募者の書類選考

3.1 履歴書のチェックポイント

基本情報

• 氏名、住所、連絡先
• 生年月日、年齢
• 写真（身だしなみ）

学歴

• 在籍大学・学部・学年
• 出身高校
• 卒業見込み時期（大学生の場合）

職歴（社会人の場合）

• 前職の内容
• 退職理由
• 塾講師経験の有無

資格・免許

• 教員免許
• TOEIC、英検などの語学資格
• その他資格

志望動機

• なぜ塾講師を選んだか
• この塾を選んだ理由
• 熱意が感じられるか

自己PR

• 強み
• 経験
• 人柄

指導可能科目

• 科目
• レベル（小学生〜高校生）
• 得意分野

勤務可能日時

• 曜日
• 時間帯
• 週の勤務可能日数

3.2 見送るべき応募者

記載不備が多い

• 空欄が多い
• 誤字脱字が多い
• 雑な字

志望動機が薄い

• 「お金のため」だけ
• 「家が近いから」だけ
• 教育への関心が感じられない

勤務条件が合わない

• 勤務可能日時が少なすぎる
• 必要な科目が指導できない
• 長期継続が見込めない

経歴に疑問

• 短期間での転職が多い
• 空白期間の説明がない
• 前職の退職理由が不明確

3.3 面接に呼ぶべき応募者

条件が合致

• 指導科目
• 勤務日時
• 長期勤務可能

意欲が感じられる

• 志望動機が明確
• 丁寧な履歴書
• 自己PRがしっかりしている

経歴が良い

• 高学歴（偏差値の高い大学）
• 理系学部（数学・理科の需要）
• 教員志望
• 塾講師経験あり

人物像が良さそう

• 誠実そう
• コミュニケーション能力がありそう
• 責任感がありそう

4. 面接の準備

4.1 面接の設定

日程調整

• 応募から1週間以内に実施
• 複数の候補日を提示
• 応募者の都合に配慮

所要時間

• 30分〜1時間程度
• 余裕を持ったスケジュール

場所

• 静かな個室
• 落ち着いた雰囲気
• 清潔な環境

面接官

• 教室長
• 可能なら複数名（主任講師など）
• 多角的な評価

4.2 事前準備

履歴書の再確認

• 質問事項のピックアップ
• 経歴の確認
• 志望動機の確認

評価シートの準備

• チェック項目の設定
• 評価基準の明確化
• 記録用紙

模擬授業の準備（実施する場合）

• 課題の設定
• 評価ポイントの確認
• 教材の準備

塾の説明資料

• パンフレット
• 指導方針
• 研修制度

5. 面接での質問と評価

5.1 基本的な質問

自己紹介 「簡単に自己紹介をお願いします」

• 話し方
• 内容のまとまり
• 第一印象

志望動機 「なぜ塾講師をやりたいと思ったのですか？」 「当塾を志望した理由は？」

• 教育への関心
• 塾への理解
• 熱意

指導可能科目 「どの科目をどのレベルまで指導できますか？」 「得意科目は何ですか？」

• 指導可能範囲の確認
• 得意分野
• 苦手科目の把握

勤務条件 「週に何日、何時間くらい勤務できますか？」 「テスト期間や長期休暇の勤務は可能ですか？」

• シフトの柔軟性
• 長期継続の可能性
• 季節講習への参加

経験・スキル 「塾講師や家庭教師の経験はありますか？」 「部活動やサークル、アルバイトの経験は？」

• 指導経験
• コミュニケーション経験
• リーダーシップ経験

5.2 人物像を見る質問

価値観 「あなたにとって『良い授業』とは何ですか？」 「生徒にどんな講師になりたいですか？」

• 教育観
• 理想像
• 考え方

対応力 「生徒が全く勉強をやる気がない場合、どう対応しますか？」 「授業中に生徒が理解できない様子だったら、どうしますか？」

• 問題解決能力
• 柔軟性
• 想像力

コミュニケーション 「保護者から『成績が上がらない』と言われたら、どう答えますか？」 「他の講師と意見が合わない時、どうしますか？」

• コミュニケーション能力
• 対人スキル
• 協調性

自己分析 「自分の強みと弱みは何ですか？」 「どんな時にやりがいを感じますか？」

• 自己認識
• 成長意欲
• 適性

将来のビジョン 「将来の目標は何ですか？」 「いつまで働けそうですか？」

• キャリアプラン
• 継続期間の見込み
• 本気度

5.3 学力を確認する質問

教科知識 「中学3年生の二次関数を説明してください」 「英語の現在完了形を説明してください」

• 基礎学力
• 説明能力
• わかりやすさ

模擬授業（実施する場合）

• 実際に教える様子を見る
• 5-10分程度
• 評価ポイント：
  • わかりやすさ
  • 生徒への配慮
  • 声の大きさ・話し方
  • 板書（ホワイトボード）の使い方
  • 時間配分

5.4 逆質問

応募者からの質問を受ける 「何か質問はありますか？」

• 関心の高さ
• 理解度
• コミュニケーション

よくある質問

• 研修制度について
• 授業の進め方
• シフトの決め方
• 給与の昇給制度
• 職場の雰囲気

6. 評価のポイント

6.1 必須条件

基礎学力

• 指導科目の知識
• 説明能力
• わかりやすさ

勤務条件

• シフトの適合性
• 長期継続の見込み
• 季節講習への参加可能性

人物像

• 誠実さ
• 責任感
• 協調性

コミュニケーション能力

• 話し方
• 聞く姿勢
• 対応力

6.2 望ましい条件

教育への情熱

• 教えることが好き
• 生徒の成長を喜べる
• 向上心

経験・実績

• 塾講師経験
• 家庭教師経験
• 部活動などのリーダー経験

柔軟性

• 様々な生徒への対応
• 状況に応じた判断
• 学び続ける姿勢

ポジティブさ

• 前向きな姿勢
• 明るさ
• ストレス耐性

6.3 評価シートの例

【面接評価シート】

氏名：_______________　面接日：_______________

■基礎項目（各5点満点）
□ 身だしなみ・第一印象　　（　/5）
□ 話し方・コミュニケーション（　/5）
□ 学力・説明能力　　　　　（　/5）
□ 志望動機・熱意　　　　　（　/5）
□ 勤務条件の適合性　　　　（　/5）

■人物評価（各5点満点）
□ 誠実さ・責任感　　　　　（　/5）
□ 柔軟性・対応力　　　　　（　/5）
□ 協調性　　　　　　　　　（　/5）
□ 向上心・成長意欲　　　　（　/5）
□ 教育への情熱　　　　　　（　/5）

■総合評価
合計点：　　/50点

■総合所見


■採用判定
□ 採用　□ 不採用　□ 保留

7. 採用・不採用の判断

7.1 採用すべき応募者

即戦力

• 学力十分
• 指導経験あり
• コミュニケーション能力高い
• 勤務条件が合致

成長の見込みがある

• 未経験だが学力・人物像が良い
• 熱意がある
• 素直で学ぶ姿勢がある
• 研修で伸びそう

希少な人材

• 理系学部の学生
• 高度な科目が指導できる
• 勤務可能時間帯が貴重

7.2 不採用にすべき応募者

基礎学力不足

• 指導科目の知識が不十分
• 説明がわかりにくい
• 理解が浅い

人物像に問題

• コミュニケーション能力が低い
• 責任感が感じられない
• 協調性がない
• 教育への関心が薄い

勤務条件が合わない

• シフトが全く合わない
• 短期間しか働けない
• 必要な科目が教えられない

面接時の態度

• 遅刻・無断欠席
• 身だしなみが不適切
• 言葉遣いが悪い
• やる気が感じられない

7.3 保留・再検討

判断が難しい場合

• 一長一短
• もう一度面接したい
• 他の応募者と比較したい

対応

• 模擬授業を依頼
• 研修体験を提案
• 他の面接官の意見を聞く
• 時間を置いて再考

8. 採用後の手続き

8.1 採用通知

タイミング

• 面接後3日以内
• 早めの連絡が望ましい

方法

• 電話で直接伝える
• メールで正式通知

内容

• 採用決定の通知
• 初回勤務日の調整
• 提出書類の案内
• 研修の予定

8.2 必要書類の回収

提出書類

• 履歴書（未提出の場合）
• 雇用契約書
• 身分証明書のコピー
• 学生証のコピー（学生の場合）
• マイナンバー
• 銀行口座情報
• 通勤経路申請書

個人情報の管理

• 厳重に保管
• 漏洩防止
• 退職時の処分方法

8.3 研修の実施

初回研修

• 塾の方針・ルールの説明
• 指導方法の研修
• 教材の説明
• 事務作業の説明

OJT（On-the-Job Training）

• ベテラン講師の授業見学
• 先輩講師との同席指導
• フィードバック

継続的な研修

• 定期的な講師会議
• 指導力向上研修
• 情報共有

9. 不採用者への対応

9.1 不採用通知

タイミング

• 採用者決定後、速やかに
• 長く待たせない

方法

• メール（基本）
• 電話（希望者には理由説明）

内容例

件名：選考結果のご連絡

〇〇様

この度は、当塾の講師職にご応募いただき、
誠にありがとうございました。

慎重に選考を重ねました結果、
誠に残念ながら、今回は見送らせていただく
こととなりました。

貴重なお時間を割いてご応募いただきましたのに、
ご期待に沿えず申し訳ございません。

〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

△△塾　教室長　山田太郎

9.2 注意点

理由は詳しく述べない

• トラブル防止
• プライバシー配慮
• 「総合的な判断」に留める

丁寧な対応

• 感謝の気持ちを伝える
• 応募者の時間と労力への配慮
• 塾のイメージにも関わる

10. じゅくのすけで採用業務を効率化

10.1 応募者情報の管理

応募者データベース

• 氏名、連絡先、学歴などの一元管理
• 面接日程の記録
• 評価シートのデジタル化
• 過去の応募者の検索

講師情報の管理

• 採用後の講師情報
• 指導可能科目
• 勤務可能日時
• 研修履歴

10.2 面接スケジュールの調整

カレンダー機能

• 面接日程の可視化
• 応募者との日程調整
• 面接官のスケジュール確認
• Googleカレンダー連携

リマインダー機能

• 面接日のリマインド
• 応募者へのリマインドメール
• 準備忘れ防止

10.3 採用後の管理

シフト登録

• 新人講師のシフト希望登録
• 既存講師とのマッチング
• 研修スケジュールの組み込み

情報共有

• 他の講師への新人紹介
• 指導方針の共有
• 権限管理による段階的な情報開示

11. まとめ：優秀な講師を採用するポイント

講師採用は、塾の教育の質を左右する最重要業務です。

重要なポイント

1. 魅力的な求人原稿で応募者を集める
2. 履歴書で基本的な適性を確認する
3. 面接で人物像・学力・コミュニケーション能力を見極める
4. 評価シートで客観的に判断する
5. 採用・不採用の判断は慎重に
6. 採用後の研修で育成する
7. じゅくのすけで応募者・講師情報を一元管理
8. 継続的な募集活動を行う
9. 既存講師からの紹介を促進する
10. 不採用者にも丁寧な対応を

優秀な講師の採用は、生徒の成績向上、保護者の満足度向上、塾の評判向上につながります。

一人ひとりの応募者と真摯に向き合い、教育への情熱を持った講師を見極め、採用することが、個別指導塾の成長の鍵となります。

計画的な採用活動と丁寧な面接を通じて、塾の理念に共感し、生徒のために尽力してくれる講師を確保していきましょう。