2025/11/15
じゅくのすけ編集部
少子化が進む中、個別指導塾の生徒募集はますます競争が激しくなっています。従来のチラシ配布だけでは新規生徒の獲得が難しくなり、SNSやWebを活用したマーケティングが不可欠となっています。本記事では、個別指導塾における効果的なマーケティング戦略とSNS活用方法を、実践的な視点から解説します。
個別指導塾のマーケティングは、一般的な商品販売とは大きく異なる特性があります。最も重要なのは、「教育」という無形のサービスを提供している点です。商品を手に取って確認することができないため、保護者は塾選びに慎重になります。そのため、信頼構築が何よりも重要となります。
また、塾の主な顧客は生徒ですが、購買決定者は保護者です。この「利用者」と「決定者」のギャップを理解し、両方に訴求するマーケティングが必要です。生徒には「楽しい」「わかりやすい」、保護者には「成績が上がる」「安心できる」というメッセージを届けることが求められます。
さらに、塾は地域密着型のビジネスです。商圏は通常、自宅から30分以内の範囲に限られます。そのため、地域での評判や口コミが極めて重要であり、広域的なマーケティングよりも、狭い地域での深い浸透を目指す戦略が効果的です。
塾マーケティングの4つの特性
効果的なマーケティングを行うには、ターゲット顧客を深く理解する必要があります。個別指導塾を探している保護者は、どのようなニーズや不安を抱えているのでしょうか。
多くの保護者が抱える悩みは、「子どもの成績が思うように上がらない」「学校の授業についていけない」「受験が不安」といったものです。また、「集団塾では質問しづらい」「一人ひとりに合わせた指導を受けさせたい」という個別指導ならではのニーズもあります。
一方で、保護者は「本当に成績が上がるのか」「講師の質は大丈夫か」「料金は適正か」「子どもとの相性は合うか」といった不安も抱えています。マーケティングでは、これらの不安を解消し、信頼を得ることが重要です。
保護者の主なニーズ
保護者の主な不安
現代において、ホームページは塾の「顔」です。保護者が塾を探す際、まずインターネットで検索し、ホームページを確認します。ホームページが存在しない、または情報が古い・少ない場合、それだけで候補から外されてしまう可能性が高いのです。
ホームページで最も重要なのは、保護者が知りたい情報が簡潔に、わかりやすく掲載されていることです。トップページを開いて3秒以内に、「どんな塾か」「どこにあるか」「どう問い合わせるか」がわかるデザインが理想的です。
また、スマートフォンでの閲覧に対応していることは必須です。現在、多くの保護者がスマホで塾を探しています。パソコンでは見やすくても、スマホで見づらいホームページは、機会損失につながります。
ホームページに必須の情報
ホームページの質を高めるポイント
どれだけ良いホームページを作っても、検索結果に表示されなければ意味がありません。SEO(検索エンジン最適化)とは、Googleなどの検索エンジンで上位表示されるための施策です。
個別指導塾の場合、「地域名 + 個別指導」「地域名 + 塾」「地域名 + 学習塾」といったキーワードで上位表示されることが重要です。例えば、「新宿 個別指導」「渋谷 塾」といった検索で、あなたの塾が1ページ目に表示されるかどうかが、問い合わせ数に大きく影響します。
SEO対策の基本は、良質なコンテンツを継続的に発信することです。ブログ記事で、地域の受験情報、勉強法、定期テスト対策などを発信すると、検索エンジンから評価されやすくなります。また、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)への登録は必須です。これにより、Google マップや検索結果に教室情報が表示され、地域からの問い合わせが増加します。
基本的なSEO対策
ローカルSEO対策
リスティング広告とは、Google検索結果の上部に表示される「広告」枠のことです。SEO対策は効果が出るまで時間がかかりますが、リスティング広告は即座に検索結果の上位に表示できるため、短期間で問い合わせを増やしたい場合に有効です。
個別指導塾の場合、入塾が増える時期(春の新学期、夏休み前、受験シーズン)に合わせて広告を出稿すると効果的です。予算は月3万円程度から始められます。「地域名 + 個別指導」「地域名 + 塾」といったキーワードで広告を出し、ホームページや問い合わせフォームに誘導します。
重要なのは、広告をクリックした後のランディングページ(最初に表示されるページ)です。このページで、保護者の関心を引き、問い合わせや体験授業の申し込みにつなげる必要があります。特典(体験授業無料、入塾金無料など)を明示すると、コンバージョン率(問い合わせ率)が高まります。
リスティング広告の運用ポイント
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、無料で始められ、地域の保護者に直接リーチできる強力なツールです。ただし、「とりあえずアカウントを作る」だけでは効果は出ません。目的を明確にし、各SNSの特性を理解して活用することが重要です。
塾がSNSを活用する主な目的は、認知度向上、信頼構築、そして問い合わせ獲得です。日々の投稿を通じて塾の雰囲気や指導方針を伝え、「この塾なら安心」と思ってもらうことが大切です。また、地域の保護者とのつながりを作り、口コミを生み出す効果も期待できます。
SNSにはそれぞれ特性があります。Instagram は視覚的な訴求に強く、教室の雰囲気や授業風景を伝えるのに適しています。Twitter(X)はリアルタイム性が高く、地域情報や受験情報の発信に向いています。LINE は保護者との直接的なコミュニケーションツールとして活用できます。これらを組み合わせて使うことで、相乗効果が生まれます。
各SNSの特性と適した用途
Instagram は、写真や動画を中心としたSNSです。個別指導塾の場合、教室の明るい雰囲気、講師の笑顔、生徒が集中して勉強している様子などを投稿することで、「通いたい」と思わせることができます。
投稿の頻度は、週2-3回が目安です。毎日投稿する必要はありませんが、定期的に更新することが重要です。内容は、授業風景、教室紹介、講師紹介、勉強法のTips、合格報告、イベント告知などをバランスよく mix します。
ハッシュタグの活用も重要です。「#新宿個別指導」「#渋谷塾」「#中学受験」「#高校受験」など、地域名と関連キーワードを組み合わせたハッシュタグをつけることで、地域の保護者に見つけてもらいやすくなります。ただし、ハッシュタグの付けすぎは逆効果なので、5-10個程度に絞りましょう。
Instagram 投稿のアイデア
投稿時の注意点
Twitter(現在はX)は、短文でリアルタイムに情報を発信できるSNSです。個別指導塾の場合、受験情報、勉強法、地域のイベント情報などを発信すると、地域の保護者や学生にフォローしてもらえる可能性が高まります。
投稿頻度は、1日1-3回程度が目安です。あまりに頻繁すぎるとフォロワーのタイムラインを埋めてしまい、敬遠されることがあります。内容は、140文字(現在は長文も可能ですが、簡潔な方が読まれやすい)で、有益な情報を提供することを心がけます。
Twitter の強みは、拡散性です。有益な情報を投稿すると、リツイート(再投稿)されて、フォロワー以外にも届きます。特に、受験シーズンの直前に役立つ情報(「共通テスト前日の過ごし方」「当日の持ち物チェックリスト」など)は、拡散されやすい傾向があります。
Twitter 投稿のアイデア
Twitter 運用のコツ
LINE公式アカウントは、保護者との直接的なコミュニケーションツールとして非常に有効です。多くの保護者が日常的にLINEを使っているため、問い合わせのハードルが下がり、体験授業の申し込みや質問が増えやすくなります。
LINE公式アカウントでできることは多岐にわたります。メッセージ配信機能を使えば、塾からのお知らせや休講情報を一斉送信できます。自動応答機能を設定すれば、「料金は?」「場所は?」といったよくある質問に自動で回答することも可能です。また、1対1のチャット機能で、個別の問い合わせにも対応できます。
ただし、LINE公式アカウントは、月に一定回数を超えるとメッセージ配信に料金がかかります(無料プランは月1000通まで)。小規模な塾であれば無料プランで十分ですが、規模が大きくなったら有料プランへの切り替えを検討しましょう。
LINE公式アカウントの活用方法
LINE 運用の注意点
YouTube は、動画を通じて塾の雰囲気や指導方法を伝えられる強力なツールです。特に、「どんな授業をしているのか」「講師はどんな人か」を見せることで、保護者の不安を解消し、信頼を得ることができます。
動画の内容は、塾紹介、授業風景、勉強法解説、合格体験談などが考えられます。特に、勉強法解説の動画は、受験生や保護者に有益な情報を提供でき、SEO効果も期待できます。例えば、「英単語の効率的な覚え方」「数学の文章題の解き方」といった動画は、検索されやすく、視聴回数が伸びる可能性があります。
ただし、YouTube は手間がかかります。撮影、編集、アップロードと、1本の動画を作るのに数時間かかることもあります。そのため、まずは月1-2本程度から始め、慣れてきたら頻度を上げるのが良いでしょう。また、動画の質にこだわりすぎる必要はありません。スマホで撮影した簡単な動画でも、内容が有益であれば十分です。
YouTube 動画のアイデア
YouTube 運用のコツ
デジタルマーケティングが主流となっても、チラシ・ポスティングは依然として有効です。特に、地域密着型の個別指導塾にとって、商圏内の全世帯にアプローチできるチラシは、重要な集客手段の一つです。
チラシで最も重要なのは、「パッと見て3秒で伝わる」ことです。保護者は忙しく、チラシをじっくり読む時間はありません。タイトル、キャッチコピー、写真で、「この塾は何が違うのか」を瞬時に伝える必要があります。例えば、「定期テスト30点アップ続出!」「1対1完全個別指導」「地域No.1の合格実績」など、具体的な数字や実績を前面に出すと効果的です。
配布のタイミングも重要です。新学期前(2-3月)、夏休み前(6-7月)、受験シーズン(11-12月)は、保護者が塾を探す時期です。この時期に集中してチラシを配布すると、問い合わせが増えやすくなります。また、定期テストの結果が返却される時期(学期末)も、「成績が悪かった」と焦る保護者が塾を探すため、狙い目です。
効果的なチラシのポイント
配布エリアと配布方法
教室の外観や看板は、塾の「第一印象」を決める重要な要素です。通りがかった保護者や生徒が、「ここに塾があるんだ」と認識してもらうことが、将来的な問い合わせにつながります。
看板は、遠くからでも見やすく、塾名と「個別指導」であることがわかるデザインが理想です。夜間も見えるように照明を設置するか、電飾看板にすると効果的です。また、のぼり旗を立てることで、視認性が大幅に向上します。「無料体験受付中」「新規生徒募集」といったメッセージを入れると、通行人の関心を引けます。
ただし、看板やのぼりの設置には、地域の条例や建物の規約による制限がある場合があります。事前に確認し、許可を得てから設置しましょう。
看板・のぼりのポイント
地域のイベント(お祭り、フリーマーケット、学校行事など)に参加したり、協賛したりすることで、地域での認知度を高めることができます。直接的な集客効果は限定的ですが、「地域に根ざした塾」という印象を与え、信頼構築につながります。
また、無料の勉強会や学習相談会を開催することも効果的です。「定期テスト対策勉強会」「受験説明会」「保護者向け進路相談会」などを地域で開催し、塾を知ってもらうきっかけを作ります。参加者の中から、実際に入塾を検討する保護者が出てくることもあります。
地域イベントの活用法
塾選びにおいて、保護者が最も信頼する情報は「知人の口コミ」です。広告やホームページの情報よりも、「実際に通っている人の声」が、入塾の決め手となることが多いのです。そのため、既存の生徒・保護者に満足してもらい、良い口コミを広めてもらうことが、最も効果的なマーケティングと言えます。
良い口コミを生むためには、まず教育の質を高めることが大前提です。成績が上がる、講師が親身、教室が清潔、対応が丁寧など、保護者が「満足」する要素を積み重ねることが重要です。また、保護者とのコミュニケーションを密にし、子どもの様子を定期的に報告することも、満足度を高める要因となります。
口コミを生むための基本
口コミを促進するために、紹介キャンペーンを実施するのも効果的です。既存の生徒が友人を紹介してくれた場合、紹介者と入塾者の双方に特典を提供します。例えば、「紹介者には図書カード3000円分、入塾者には入塾金無料」といった特典です。
紹介キャンペーンを行う際は、特典だけでなく、「紹介しやすい仕組み」を作ることも重要です。紹介カードを配布し、友人に渡してもらう方法や、LINEで簡単に紹介できるURLを発行する方法などがあります。また、キャンペーン期間を設定することで、「今紹介しよう」という動機づけにもなります。
紹介キャンペーンのポイント
Google マップやGoogle検索結果に表示される「Googleレビュー(口コミ)」は、新規の保護者が塾を選ぶ際の重要な判断材料となります。レビューの星の数や内容を見て、「この塾は評判が良さそう」「やめておこう」と判断する保護者は多いのです。
Googleレビューを増やすには、満足している保護者に直接お願いするのが最も確実です。「もしよろしければ、Googleレビューに感想を書いていただけると嬉しいです」と丁寧にお願いすると、多くの保護者が協力してくれます。その際、QRコードやURLを用意しておくと、レビューを書くハードルが下がります。
また、レビューには必ず返信しましょう。良いレビューには感謝の言葉を、悪いレビューには誠実な対応を示すことで、他の閲覧者にも良い印象を与えます。特に、悪いレビューへの対応は重要です。クレームに対して真摯に向き合い、改善の姿勢を示すことで、「きちんと対応してくれる塾だ」という信頼につながります。
Googleレビューを増やす方法
どれだけ優れたマーケティングを行っても、最終的に入塾を決めるのは「体験授業」です。体験授業で、保護者と生徒に「この塾に通いたい」と思ってもらえなければ、入塾にはつながりません。そのため、体験授業は単なる「お試し」ではなく、「入塾を決めてもらうための最重要プロセス」と位置づけるべきです。
体験授業で保護者が見ているのは、「講師の質」「子どもとの相性」「教室の雰囲気」「指導方針」です。授業中は、生徒が理解しやすい説明を心がけ、適度に褒めながら進めることで、「この塾なら成績が上がりそう」と感じてもらいます。また、授業後には保護者と面談を行い、子どもの現状、課題、今後の学習方針を丁寧に説明します。
体験授業は無料で提供するのが一般的です。有料にすると、申し込みのハードルが上がり、機会損失につながります。無料で提供し、質の高い授業と丁寧な対応で、入塾を決めてもらうことが重要です。
体験授業の流れ
体験授業での重要ポイント
体験授業を受けた後、すぐに入塾を決める保護者もいれば、「検討します」と持ち帰る保護者もいます。後者の場合、何もしなければそのまま入塾に至らないことが多いため、適切なフォローアップが重要です。
体験授業の翌日または2-3日後に、電話やメールで連絡を入れます。「先日はありがとうございました。お子様の様子はいかがですか?」と軽く様子を伺い、「何かご不明な点があれば、いつでもお気軽にご連絡ください」と伝えます。この時、無理に入塾を迫るのではなく、「相談に乗ります」という姿勢を示すことが大切です。
また、体験授業時に「期限付きの特典」を提示するのも効果的です。「今月中にお申し込みいただければ、入塾金が無料になります」といった特典があれば、保護者の決断を後押しできます。ただし、過度な値引きは塾の価値を下げることにもなるため、バランスが重要です。
フォローアップの方法
マーケティング施策は、「やりっぱなし」では意味がありません。どの施策が効果的で、どの施策が無駄だったのかを測定し、改善していくことが重要です。そのためには、問い合わせ時に「どこで当塾を知りましたか?」と必ず質問し、記録します。
例えば、「ホームページ」「チラシ」「Instagram」「知人の紹介」といった流入経路を記録することで、どの施策が効果的かが見えてきます。もし、チラシからの問い合わせが少なければ、チラシのデザインや配布エリアを見直す必要があります。逆に、Instagramからの問い合わせが多ければ、Instagram運用に力を入れるべきです。
また、体験授業から入塾への転換率(コンバージョン率)も重要な指標です。体験授業を10人が受けて、3人が入塾すれば、転換率は30%です。この数字が低い場合、体験授業の質や説明方法に問題がある可能性があります。
測定すべき指標
マーケティングは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(測定)→ Action(改善)のサイクルを回し続けることで、効果が高まります。例えば、「Instagram運用を強化する」という計画を立てたら、実際に週3回投稿し、1ヶ月後にフォロワー数や問い合わせ数を測定します。そして、効果が出ていれば継続し、出ていなければ投稿内容や頻度を見直します。
このサイクルを高速で回すことで、限られた予算と時間で最大の効果を得ることができます。特に、小規模な塾では予算が限られているため、効果の低い施策に時間とお金を使うわけにはいきません。定期的に施策を見直し、効果的なものに集中することが重要です。
PDCAサイクルの実践例
マーケティングの効果測定や顧客管理には、システムの活用が有効です。じゅくのすけを使えば、問い合わせから体験授業、入塾までのプロセスを一元管理でき、流入経路の分析も容易になります。
また、お知らせ配信機能を使えば、既存の保護者に向けたキャンペーン告知や紹介依頼を効率的に行えます。リアルタイム通知機能により、問い合わせへの迅速な対応も可能になり、体験授業への転換率向上につながります。
じゅくのすけでできること
個別指導塾のマーケティングは、一度やって終わりではなく、継続的に取り組むべき活動です。市場環境や競合状況は常に変化しており、それに合わせてマーケティング戦略も進化させる必要があります。
重要なポイント
マーケティングで最も重要なのは、「保護者の信頼を得ること」です。どんなに巧みな広告やSNS運用をしても、実際の教育の質が低ければ、口コミは広がりません。まずは教育の質を高め、保護者に満足してもらうことが、最高のマーケティングです。
その上で、ホームページ、SNS、チラシなど様々な手段を使って、地域の保護者に塾の存在を知ってもらい、良さを伝えていくことが重要です。一つ一つの施策を丁寧に実行し、継続することで、安定した生徒募集を実現していきましょう。
「この地域で塾を探すなら、まずあの塾」と思ってもらえる存在になることが、個別指導塾のマーケティングのゴールです。日々の積み重ねが、信頼とブランドを築いていきます。

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